美術室のユーレイ



そういえば


「あの霊ってやっぱり悪霊だったんだ」


「そうだよ。舞空、相当危なかったんだから」


…美斗くんが助けてくれていなかったら今頃どうなってたんだろ。


考えただけでゾッとする。


「でも放課後のときさ、俺のこと悪霊って言ってなかった?」


「え?…あっ」



『この悪霊め!!』



「言ったかも」


誤魔化すように笑うけど、美斗くんは笑わない。


「俺…根に持つよ?」


「ご…ごめんなさい」


口は笑っているけど目は笑っていない。


相当怖い。


美斗くんってそんな顔もできるんだ。



そんな私の様子を見て川村くんは表情を変え、ニヤリと笑った。


「冗談だよ。本気で根に持つとでも思った?」


明らかに私の様子を見て楽しんでいる。



か…からかわれた!


私がムッとしていると「ごめんごめん」って軽く謝られた。



悪霊と戦っている時はかっこよかったのに、今はただのドSユーレイ。


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