美術室のユーレイ




「じゃあ、さっそく教えてもらおうか」


「…なにを?」


部室の鍵を開けた途端、挨拶もなしにそう言った私に美斗くんは驚いている。


「いきなり現れるな。びっくりするだろ」


そんなこと言っている美斗くんを無視し、ずんずんと進んでいき美斗くんの前で足を止めた。


「な、なに?」


明らかに警戒している様子。


私はそんな美斗くんに構わず、グッと距離を詰める。


「昨日のこと教えて!」


「昨日のこと…?」


美斗くんは戸惑いの表情を浮かべている。


その美斗くんの表情に不安を覚える。



あれ…もしかして覚えてない?


ユーレイって1日で記憶消えるとか?

え、ユーレイってそんなニワトリみたいな記憶力なの?



ありえない…。


覚えてないなら聞けないじゃん…。




まさか私のことも…?



私が絶望の表情を浮かべていると美斗くんの肩が小刻みに震えているのが目に入った。


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