美術室のユーレイ
「…で、なにから聞きたい?俺の正体?」
美斗くんは椅子の上であぐらをかいている。
美斗くんの正体…。
美斗くんは何者なのか…。
「うん、美斗くんの正体は、なに?」
私がそう言うと美斗くんはニヤッと笑った。
「ついてきて」
そう言われてついていくと連れてこられたのは美術室だった。
「なんで、美術室?」
「あれ」
美斗くんは私の肩に手を置き、廊下側の壁を指さした。
突然触れられドキッとした感情を無視し、美斗くんの指さす方向に目を向ける。
「あれって…」
そこには高校生くらいの男女が肩を並べて座り、ビーチで黄昏時の海を眺めている絵だった。
地平線に沈もうとしている夕日が存在感を出している。
壁の3分の2を占める巨大な絵。
美術室の壁に飾られているから私も何度か見たことはある。
私が密かに憧れている絵。
でも、この絵がどうしたんだろ。