美術室のユーレイ



「…で、なにから聞きたい?俺の正体?」


美斗くんは椅子の上であぐらをかいている。



美斗くんの正体…。


美斗くんは何者なのか…。


「うん、美斗くんの正体は、なに?」


私がそう言うと美斗くんはニヤッと笑った。


「ついてきて」




そう言われてついていくと連れてこられたのは美術室だった。


「なんで、美術室?」


「あれ」


美斗くんは私の肩に手を置き、廊下側の壁を指さした。


突然触れられドキッとした感情を無視し、美斗くんの指さす方向に目を向ける。


「あれって…」


そこには高校生くらいの男女が肩を並べて座り、ビーチで黄昏時の海を眺めている絵だった。


地平線に沈もうとしている夕日が存在感を出している。


壁の3分の2を占める巨大な絵。

美術室の壁に飾られているから私も何度か見たことはある。


私が密かに憧れている絵。



でも、この絵がどうしたんだろ。


< 49 / 267 >

この作品をシェア

pagetop