美術室のユーレイ
「そういえば舞空ちゃんこそなんでいるの?忘れ物?」
「え?あっ…それはーそのー…」
私は目を泳がせた。
そっか、記憶がなくなっている以上、私が突然現れたことになっているのか。
ど、どうしよう。
なんて言い訳をしよう。
「あのー」とか「そのー」とか言いながら言い訳を考えていると
ツンツンと腕をつつかれた。
振り返ると美斗くんが私の机の中を指さしている。
そこには私のペンケースが入っていた。
あれ?私、カバンの中に入れたはずじゃ…。
「舞空のカバンの中からぬいて持ってきた。これを忘れ物の口実に使えばいいんじゃない?」
美斗くんナイス!
結杏に気づかれないように私は親指を立て、グッドサインを向けた。