美術室のユーレイ
え…。
「あんまりそういう顔、しないほうがいいと思うよ」
そう言うと美斗くんは手の甲を口の前に持っていき、目を逸らした。
さっきまで耳だけだった赤みが顔全体に広がっている。
「どうしたの?」
「…無自覚って怖い」
「え?」
全然話が見えない。
「前までは見ているだけだったけど、今は」
グイッ
「きゃ!」
「触れられちゃうからね」
腕をひっぱられ美斗くんの顔がすぐ目の前にある。
ちょっとでも前かがみになるとキスしてしまいそうな距離。
今度は私が赤面する番だ。
そんな赤くなった私のほっぺに美斗くんは手を添えた。
「だからあんまりそういうかわいい顔しないほうがいいよ。わかった?」
「う…うん…」
迫力に圧倒されて意味もわからず頷いた。