美術室のユーレイ
「それよりさー」
美斗くんは鉛筆をくわえるのをやめ、私の方を向いた。
まぁ、私がどうこう思っても本人がわからないと言っているならわからないんだよね。
私はそう結論づけ美斗くんの話に耳を傾けた。
「なに?」
美斗くんは私のスケッチブックをぱらぱらとめくりながら言った。
「舞空ってさ、人物は描かないの?」
「人物?」
「そう。このスケッチブックに描かれている絵、風景しかないじゃん」
「別に風景が悪いって言っている訳じゃないけどさー」となぜか少し寂しそうに言った。
「私も本当は人物を描くのが好きなんだけど、モデルがいなくて」
私がそう言うと美斗くんはパッと笑顔になった。
「俺!」
「えっ?」
「俺がモデルになる。だから舞空、俺を描いて!」
「えええ!?」