美術室のユーレイ






「舞空ーできたー?」


「まだだよ。まだ2分くらいしか経ってないじゃん」


「はやく見たいなー」


そう言いながら楽しそうにニコニコしている。


こういう所は先輩に見えないというか、無邪気というか。


なにやら私の絵に期待をしちゃってる様子。


「言っておくけど、人物を描くのはすごく久しぶりだからね。失敗しちゃうかもしれないよ」


「それでも、いい。舞空の絵が見たい」


風景画にはさほど興味を示さなかったのに、人物となると食い付きがすごい。


「わかった、忠告はしたからね」


私はまたサラサラと下書きを始める。



にしても顔がイケメンってだけあって本当に絵になる。


写真で鮮明に撮りたいところだけど、美斗くんはユーレイなので写真には映らない。


それがちょっともったいないところ。




下書きが終わり、使いそうな色のコピックを出していく。



なんか懐かしいなーこの感じ…。






『舞空ーもういい?』



『あっ、ちょっと、まだだよ!動かないで!』



< 78 / 267 >

この作品をシェア

pagetop