美術室のユーレイ
「舞空ーできたー?」
「まだだよ。まだ2分くらいしか経ってないじゃん」
「はやく見たいなー」
そう言いながら楽しそうにニコニコしている。
こういう所は先輩に見えないというか、無邪気というか。
なにやら私の絵に期待をしちゃってる様子。
「言っておくけど、人物を描くのはすごく久しぶりだからね。失敗しちゃうかもしれないよ」
「それでも、いい。舞空の絵が見たい」
風景画にはさほど興味を示さなかったのに、人物となると食い付きがすごい。
「わかった、忠告はしたからね」
私はまたサラサラと下書きを始める。
にしても顔がイケメンってだけあって本当に絵になる。
写真で鮮明に撮りたいところだけど、美斗くんはユーレイなので写真には映らない。
それがちょっともったいないところ。
下書きが終わり、使いそうな色のコピックを出していく。
なんか懐かしいなーこの感じ…。
『舞空ーもういい?』
『あっ、ちょっと、まだだよ!動かないで!』