美術室のユーレイ




「どう?あった?」


「んー…ない」


くまさんのぬいぐるみ探しの旅に出た私たちがまず向かったのは、普通の教室。


ホコリが被っている机のなかとか、教卓の中を探したけど見つからず。



次に向かったのは理科室。


ビーカーやフラスコが入っている棚や、机についている引き出しの中も探してみたけど見つからず。



で、今いるのが図書室。


旧校舎でも本はそのまま並べられている。


「そっかー。ないかー」


女の子はハシゴに登り、高い本棚の上を確認したところだった。


本棚の中は見つからず、「もしかしたら棚の上かも」という女の子の提案によりハシゴで上を確認中。


本棚という本棚の上を確認したが、くまさんのぬいぐるみらしきものは見当たらなかった。



女の子の顔がだんだんと曇っていく。


「やっぱり…見つからない…?」


「だ、大丈夫大丈夫!ほら、あそこの本棚の上、また見てないよ?」


私は窓際の本棚を指さした。


あそこが最後の本棚で、あそこになければこの図書室にはないことになる。



お願い、見つかって!

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