美術室のユーレイ



けど




…あれ、ない。


おかしいな。



本棚の上にはただのホコリの絨毯が広がっているだけで、くまさんのぬいぐるみは見つからない。


「ねぇ本当にあったの?」


私がそう言いながら振り返る…




その時だった。



ガシャン




え…。


何が起こったのかすぐにはわからなかった。



ハシゴから離れる足。


傾く体。



「バイバイ、おねエサン…」



不敵な笑みを浮かべながら、ハシゴを倒している女の子。



図書室の景色がだんだんと遠ざかっていく。


私の体は窓の外へ放り出された。


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