美術室のユーレイ




図書室に到着し、私は美斗くんの腕から降りた。


「え…あれ…」


女の子の姿に怖気付いた。


最後に見た女の子の姿とはだいぶ違っていた。


身長は同じでも、顔は闇のように黒く、つぶらな瞳は赤く染まり、かわいらしかったポニーテールは長く伸び針のように鋭くなっている。


「よお、悪霊」


「オノレ…キサマ…」


その身長じゃ考えられないほど声は深かった。


「よくも舞空をいじめてくれたね?」


美斗くんはニコニコしているけれど、殺気に満ち溢れていた。



すると途端に真顔になり



「…許さないから」


悪霊に向かって剣を振りおろした。


「ギャアアアア!!」


悪霊が悲鳴を上げたかと思うとすぐに反撃してきた。


悪霊の鋭くとがった髪の毛が美斗くんに向かって襲いかかる。


カキーン


それを美斗くんは剣で受け止める。


髪の毛らしからぬ音が響いた。


髪の毛だったらあんな音…出ないよ…。



私はさらに怖気付いた。







…その時。

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