君に花束を
想い
新学期。
新しい制服………ではなく、クリーニングから帰ってきた制服に身をつつむ。
いつもは短いスカートも、式典の日だけは皆んな膝丈にし、緩めたリボンやネクタイはきっちりしている。
桜の香りがどこからか漂う廊下で多くの生徒がざわざわと騒いでいる。
「やった、やったよ、なっちゃん!」
私もその1人。だって___。
「あー、はいはい。鬱陶しいから抱きつかないで」
「なっちゃん冷たい!1年でクラス離れたときは寂しいって言ってくれたのに!!」
「勝手に記憶の書き換えをしないで。それに、葵が喜んでるのはそれだけじゃあないでしょ」
ドキッ______
そう訝しげな視線を向けてくるのは久城夏樹。
中学の頃から1番の仲良しさんで、私の良きお姉ちゃん的存在。そして美人。
サラサラの黒髪は思わず触れたくなっちゃうけど、本人はふわふわの茶髪に憧れている。
「え、へへっ。バレた?」
「バレバレ。そのモチモチほっぺたがゆるゆるになってるけど?」
そう言って私の頬を引っ張るなっちゃんは呆れた顔をしている。