君に花束を
どんなに私の想いをぶつけても空回ってばかりで"友達"から"恋人“っていう関係の進化までには至らない。
結構、仲はいいと思うんだけどなぁ。
ホームルームが始まり、先生の話を片肘ついてぼんやり聞いていると、教室のどこからか女子生徒の声が耳に入った。
「えー、晴くん声かけてみようよ!」
「でも、晴くん彼女いるし。ほらよく一緒にいる可愛い……」
「彼女!??」
とたん、彼女達から驚きのワードが飛び、思い切り立ち上がってしまった。
今彼女って言った?知らないよそんな情報は!!!
常に晴くんに張り付いて調査してたのに、今まで見たことないんだけど!!
それとも何、まさか夜に2人で密会を重ねてゴールインしたって!?
そんな、まさかっ。晴くんの(未来の)彼女は私のはずなのに……っ。
「……おーい、和泉。ホームルーム中だぞ」
「へっ?」
「日向への情熱を語ってないで席つけ」
気怠そうに、まだ20代後半の担任は言った。
「え、今口に出してました?」
「ばっちりな。なんだ、その……がんばれや」
慌てて晴くんの方を見れば顔を青白くし、頬がピクピクしている。