君に花束を
駅前で高校生や大学生達が多いためか、店内はガヤガヤと騒がしかった。
「うわぁー、人多いね。店舗が大きくて良かった」
「そうだな。……久城や奏たちが来るまで時間あるしなんか歌うか」
「おっ、いいね。晴くんの歌声とか最高じゃないですかー」
密室だし、襲っちゃうかも…。
「……ゲホッ。あー、喉の調子悪いからやっぱ歌えないかも」
すると何かを察したのか、わざとらしい咳払いをして晴くんは立ち上がった。
「わー、さすがにチューしかしないよ!?」
「余裕でアウト。はぁ、こんなことなら久城もついてきてもらえばよかった」
「はは。なっちゃんはああ見えて奏のこと大好きだからね」
「なんだかんだラブラブだもんな」
デンモクをいじりながら笑う晴くんの横顔をみて、今日の女子生徒たちの話が頭をよぎる。
……彼女、いるって本当かな。
「ねー、晴くん。好きな子とかいないの」
「…は?なんだよいきなり」
「いやー?だってさ、私たち華の女子高生じゃん」
「いや、俺は女子じゃないけどな」
不思議そうに私をみる晴くんを無視して、言葉を紡ぐ。
「そのさ…」
"彼女いるの?"