君に花束を
たった一言、そう聞けばいいのに言葉が喉に詰まって出てこない。
晴くんへの想いは勝手に口から漏れ出てくるのに、その問いの答えを聞くのが怖くて聞けない。
私、こんなんだったっけ?
機械から流れてくる音楽だけが、部屋の中に響いて沈黙が続く。
「お前、なんか変……」
「……そんなことないよ」
「でも…」
晴くんが言おうとした言葉は最後まで聞けず、ドアが開いた。
「おーすっ!!俺にしては結構集められたぜー!」
少し悪くなった空気を打ち消すように、奏が中へ入ってきた。
それに続くように、なっちゃんや新しくなったクラスメイト達が続々と入ってくる。
「すっごい、よくこんなに集められたね?」
心に残ったモヤモヤを無理やり消して、明るい声をだす。
半分以上はいるかな。急に決まったことなのに、沢山集まったのは行事好きが多いのか、それとも晴くん効果なのか。
「よーし、いっぱい歌うぞー!」
奏がそう声をあげれば、次々と予約されていき、次第にアップテンポな音楽が流れ出した。