君に花束を
「んーっ、楽しかった」
時間はあっという間に過ぎるもので、もう19時を回った頃。
「葵、日向と何かあった?」
「えっ!なんで?」
「質問してるのは私よ。まぁ、その反応で何かあったのかはわかったけど」
「大したことは、ないよ」
この言葉に嘘はない。
晴くんに彼女がいるのかどうかは分からずじまいだったけど、好きな人がいるか聞いた時の晴くんの反応はそれらしかった。
だって、あからさまに動揺してたし。
もし、彼女がいるっていう噂が本当なら私は失恋したことになるのかな。
「例えばさ、奏がなっちゃん以外の女の子を好きだったとしたらなっちゃんはどうする?」
「えぇ、奏?どうって言われてもなあ。そういうふうに見たことないし」
「そっか」
「………」
「………って、えぇ!?」
そんな目で見たことないって!そうなの!?
てっきり、奏に対する態度が他と違った気がしたからそうなんだと思ってたんだけど。
「でもまぁ、奏はあんなのだけど。いればそれなりに楽しいし、いないとそれなりに寂しくはあるよね」
「やっぱそういうもんなんだ」