溺愛婚約者と秘密の約束と甘い媚薬を
21話「サプライズ」





   21話「サプライズ」





   ☆☆☆





 「え!?もう会っちゃったの?」
 『うん。……もうって、どういう事?』


 美鈴から電話があり、風香は驚いた。
 彼女は、輝の事を心配して電話をしてくれていたのだ。
 風香は昨日の話をすると、『遅かったか………』と、ため息をついた。
 美鈴は、風香に話しをしたかった事を伝え始めた。


 『知り合いから輝さんが美鈴の事を探してるって話を聞いたの』
 「………何で今さら……」
 『ゲーム依存になってかなりの借金あったらしいよ。そのせいで年下の彼女とも別れちゃったみたいで。風香ならわかってくれるって、よりを戻したい、みたいな事を話してたみたい。最低だわ』
 「………そんな事が……」


 風香はその話に絶句してしまった。
 輝の極度のゲーム好きだというのは知っていたが、そこまでだとは思わなかった。それに、彼女と別れたからと言って、自分の元に戻ってくるというのも信じられなかった。


 『そして、風香が婚約した事とか、柊さんが失踪して結婚式が延期になった事を話した人がいたみたいで。それなら、俺が……って思ってたみまいだよ』
 「………それで、私の家に来たのね」
 『会わなかったのは正解だよ。だから、なるべく一人で家にいない方がいいかもしれないわよ』
 「うん……」
 『大変な事が重なってるけど、無理しないで。あ、そう言えば、柊さんはどう?少し思い出したりした?』
 「ううん。変わらないよ。でも、前の柊とも全く変わらない。だから、戸惑うこと多いけど、嬉しい部分も多いんだよ」
 『そっか。よかった。………一緒に過ごしてるんでしょ?メモリーロスはあった?』
 「………ないと思う。探してはないし、薬を飲んでいる様子はないから」



 そう言えば美鈴に、柊がメモリーロスを飲んでいるか探してみればいいのではないか?と言っていた。
 風香もそれを忘れてはいなかったけれど、部屋の中を探し回る事は、やはり気が引けたのでする事は止めていた。
 彼との穏やかな時間が終わってしまうのが怖かったという気持ちもあったのかもしれないが………。
 それに、彼が薬を飲む姿や他の記憶の損失などは見られなかったのだ。


 『そう。早く元に戻るといいね』
 「うん。輝の事、教えてくれてありがとう」




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