溺愛婚約者と秘密の約束と甘い媚薬を
31話「思い出のミント」
31話「思い出のミント」
風香はただ彼らの手や肌、舌、そして吐息や声に必死に堪えた。声を出してしまったら、もう涙も嗚咽も止まらなくなってしまうと思ったからだった。
自分を保つために、風香はどんな感覚にもグッと我慢した。いつかは終わるのだ、これが終わればきっと大丈夫。
時間が経てば、誰かが見つけてくれる。
誰かとは柊だろうか?
時間が経って彼が風香と離れた理由を思い出したら、もう彼は探してくれないのではないな。そんな事はない、記憶を失っても愛してくれているではないか。
考えれば考えるほど、風香は恐怖と不安に押し潰されそうになる。
本当にこれが最後なのか?この気持ちが悪い感覚がずっと続くのではないか?それとも、もっと酷い事をされるのではないか?
そう思うと、もう宝石のありかを伝えてしまいたいと考えてしまう。けれど、教えたら無事に開放してくれるかもわからない。
「………っっ!!」
ついに、風香の下着にまで男達の手が伸びた。咄嗟に体が震えが大きくなり、声も出そうになってしまった。けれど、目の前の現実を見ることが恐ろしく、風香は更に目を強く瞑った。