溺愛婚約者と秘密の約束と甘い媚薬を



 丁度、その時だった。



 ガシャンッ
 バタバタバタバタッッ


 部屋の何処かから激しい音が響いた。
 その瞬間、そこに居た誰もが驚き手を止めた。


 「何だ今の音……」
 「ガラスか割れたのか?」
 「おいっ!侵入者だ!逃げろっ」


 遠くの方からそんな叫び声が聞こえた。
 そして廊下を走る音が聞こえてくる。


 「侵入者って、捕まえた方がいいんじゃねぇか?」
 「サツだったらどうすんだよ!」
 「いいから、風香を連れて逃げるのよっ!」


 動揺している男達にそう命令した。
 風香が震えている姿をソファに座りニヤニヤしながら見ていた美鈴はいち早く窓際に逃げていた。
 そして、カーテンを開けた瞬間だった。


 「遅いっっ!」
 「きゃっ!!」


 警備隊の黒い服を着た男が、美鈴の体に飛び付き、腕を捻りそのまま地面に体を付けて拘束した。
 ドアからは警備隊が次々と部屋に入り、パーカー服の男達を捕まえた。



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