溺愛婚約者と秘密の約束と甘い媚薬を
まだわからない事が多い。
けれど、彼の事を信じて明日を待とう。
そんな風に感じていると、しばらくすると耳元に彼の寝息が聞こえてきた。
「………柊?………」
「…………」
柊は風香を抱きしめたまま、あっという間に寝てしまったようだ。風香の呼び掛けにも応じないぐらいに熟睡していた。
朝まで一緒に過ごすよと言ってくれていたけれど、まさかこうやって先に彼が寝てしまうとは思わなかった。普段も、寝入るは風香の方が先だった。それほどに、彼は疲れているのだろう。
風香以上に美鈴達の事を警戒し、影から風香を守っていてくれたのがわかる。彼は「守れなくてごめん」と、何度も言うけれど、本当にそんな事はないのだと、彼に強く伝えたいぐらいだった。
「おやすみ、柊。………大好きよ。また、明日」
風香は身動きが取れないので、顔だけを動かして、鎖骨辺りに小さくキスを落とした。そして、心地のいい温かさを感じながら、風香もすぐに眠りについたのだった。