溺愛婚約者と秘密の約束と甘い媚薬を
夢は見なかった。
それほどに、熟睡出来たのだろう。感じたのは、隣の彼が動いたからだった。
「ん………柊…………?」
「ごめん、起こしちゃった?まだ寝てていいよ。俺もここに居るから」
「ううん。今はもう朝なの?」
「もうお昼過ぎだった。10時間以上寝てたみたいだ」
そう言って微笑みながら、柊は風香の頭を撫でてくれる。
風香は、心地よさに目を閉じて「おはよう」と彼にくっついていく。そして、「キスして欲しい」と言うと、柊は「喜んで」と小さく笑い、優しいキスを唇に落とした。それを何回か繰り返した後、風香の顔をジッと見ながら「おはよう」と、挨拶を返した。
「昨日の夜は……その、ごめん。俺の方が早く寝ちゃったよな」
「疲れてたんだから仕方がないよ。柊さんの寝顔見てたら安心しちゃった」
「ちゃんと寝れたか?怖い夢見なかったか?」
「ふふふ、大丈夫だよ。柊も大丈夫だった?」
「あぁ。お陰さまで熟睡出来た」
「じゃあ、よかった。じゃあ、ブランチにしようか。なんか、お腹空いちゃった」
「何食べる?」
「んー……ピザ!」
「朝から食べるなー。でも、まぁ、安心したよ」
風香の答えに、柊は楽しそうに笑った。
朝から食べ過ぎかなと思いつつも、昨日の夜から食べてないので、空腹だったのだ。くいじがはってるかなと、顔を赤くしたけれど柊は「よかったよかった」と頭をポンポンとしてくれた。
風香はベットから起き上がり、大きく腕を伸ばした。