溺愛婚約者と秘密の約束と甘い媚薬を




 「それで、柊の大切な話しって何?」


 少し不安そうに眉を下げ、風香は柊に問いかけた。柊は意を決して風香に話し始めた。


 「風香の友達の美鈴さんについての話なんだ」
 「え?美鈴?………美鈴がどうしたの?」


 予想外の話題だったのだろう。
 風香はキョトンとした様子で柊を見た。けれど、柊は表情や声のトーンを変えずに話し続けた。

 

 「久遠美鈴は、違法薬物の売買、売春行為や斡旋など違法行為を繰り返している。そのために、俺は彼女の周囲を探っていたんだ」
 「………ぇ…………」


 風香の顔色が変わった。
 口元がひきつり、瞳は揺れていた。
 そんな彼女を無言で見つめ続ける事が出来ず、柊は更に話を進めた。


 「そして、彼女は多額の借金があり………風香の宝石を狙っていると情報があったんだ。だから…………」
「な、何言ってるの、柊………。そ、そんなはずないじゃない!冗談でも美鈴の事をそんな風に言った私だって怒るよ」


 ひきつった笑みを浮かべ、そう反論する風香に柊はゆっくりと首を横に振った。


 「冗談でも嘘でもないんだ。美鈴さんは風香の宝石を狙っている。それは本当なんだ」
 「うそ………嘘よ!そんなこと、美鈴がそんな事するはずないよ?だって、いつも優しくてかっこよくて、私の大好きな友達なんだよ?……そんなはずない!」
 「風香ちゃん………」


 動揺し大きな声を出して、そう反論する。瞳は涙を浮かべ、口元は泣きそうになるのをこらえている。けれど、視線と眉だけは柊を睨み付けていた。



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