溺愛婚約者と秘密の約束と甘い媚薬を
「滝川さん!今回の計画は一度中止にしてください」
「な、何だって?」
「え、青海さん、どうしたんですか?」
柊の突然の発言に警察署内はざわついた。
柊は、風香のメッセージの内容を簡単に説明した。
「美鈴の友達であり、俺の婚約者が………メモリーロスを飲みました」
「なっ……何だって……!」
「なんで、そんな事を………」
動揺が走るなか、柊はスマホを強く握りしめながら、風香のメッセージを確認しながら言葉を続けた。
「美鈴と話がしたかったそうです。どうしてそんな事をするのか。話してくれなかったのか………聞いておきたかった、と」
「それは逮捕してからでも、よかったんじゃないか」
「自分が美鈴を捕まえる手助けをすると、美鈴の苦しみに気づけなかった責任でもあるから………だから、自分を囮に使ってほしいそうです」
「…………なんて事を考えたんだ………」
滝川は頭を抱えて、大きくため息をついている。和臣は顔が青くなってしまっていた。
「和臣…………」
「それで、君の婚約者は何を忘れたんだ?」
「美鈴が犯罪に関わっている疑いがある事です。普段通りに接するから、捕まえてほしいとの事でした」
「………一般人を捜査に巻き込むわけにはいかないだろう!それに、もう計画はスタートしているんだ」
「………風香は美鈴にメッセージを送っていません」
「……………やってくれたな………」
滝川は、また大きく息を吐き、イスにどかりと座った。そして、厳しい視線でどこかをボーッと見た。しばらく考え込んだ後、ゆっくりと口を開いた。