溺愛婚約者と秘密の約束と甘い媚薬を
「今回の作戦は中止する。待機組には通達を。そして監視以外は、作戦会議をするので戻ってくるように連絡してくれ」
「「はいっ!」」
「滝川さん………ありがとうございます!」
柊は滝川に頭を下げる。すると、柊の後頭部を手のひらで思い切り叩かれてしまった。
「いっ………!」
「無事に、逮捕出来たらお前と婚約者には説教だからな。………まったく、俺の部下の嫁さんは強いやつが多いな………」
そんなぼやきを聞いて、柊は思わず苦笑してしまう。風香は元は部屋に籠ってばかりの静かな女性だった。けれど、柊が経験した海外での話しをとてもキラキラした瞳で聞き、外の世界への魅力を感じていたようだった。デートでなるべく外に出掛けるようにしており、少しずつ活発になってくれた。
風香が行動的になってくれるのは嬉しいけれど、まさかこんな事までするとは思ってもいなかった。
柊は風香のメッセージを見つめながら、そんな事を思っていた。
「青海さん!何やってるんですか!?早く、風香さんと所へ行きましょう!?」
「メモリーロスを飲んだら、半日は目を覚まさないんだろう?」
「ダメですよ!法外のものに手を出してたらどうするですか?」
「だが………俺は…………」
柊は少しだけ風香に会いづらいと思ってしまっていた。例え、それが寝ている彼女だとしても。彼女に美鈴の事を伝えなかった方がよかったのか。彼女の気持ちをわかってあげられなかったら。
風香を危険にさらしてしまったのだ。
それが情けなくて、悔しかった。