溺愛婚約者と秘密の約束と甘い媚薬を


 きっと、柊は自分が頼りないからだ、守れなかった。そう思っちゃうんだろうね。
 でも違うよ。私は大切な友達を守ろうとしてる。柊も美鈴を悪の手から抜け出す手伝いをしてくれようとしてるんだよね。ありがとう。
 大切な友達を守ろうとしてくれて。


 私、柊のお嫁さんになるんだよね

 警察官の奥さんになるんだから、覚悟は出来てます。というか、役に立てるのが嬉しいの。柊の事守るのが、奥さんだから。

 私を囮に使って、必ず美鈴を捕まえてね。
 絶対、絶対だよ!

 別れの挨拶みたいになってるけど、絶対に柊を忘れない。もしも、忘れてたとしてもまた好きになる。
 だから、会いに来てね。


 自分勝手なフィアンセを許してください。
 柊、大好き。

               風香  』




 柊は、スマホをポケットにしまい、ゆっくりと立ち上がる。


 「風香……ありがとう。もしかしたら、辛い思いをさせてしまうかもしれない。けど、必ず迎えに行く。助けに行く。だから、待っててくれ」


 いばら姫のように静かに眠る風香の唇に、ゆっくりとキスをする。もちろん、姫のように目を覚ます事はない。

 唇をゆっくりと離し、風香の顔を見つめる。
 先ほどの苦しそうな表情から、少しだけ穏やかなものに変わっていた。柊はそれを見てホッとした。


 「俺も愛してる」


 そう、眠る風香に言葉を残し、柊は彼女の部屋から離れ、部屋の鍵をしめた。



 「………やってやるさ」


 風香の家の鍵を握りしめ、柊は力強げつぶやいたのだった。





 

 

 
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