溺愛婚約者と秘密の約束と甘い媚薬を
37話「私を信じてください」
37話「私を信じてください」
☆☆☆
「このメール、私が送ったの………?」
「そうだよ」
柊からそのメールを見せてもらったけれど、やはり全く思い出せなかった。宛名は風香からになっている。送信履歴を見ればわかるだろうが、きっと削除してあるだろう。
「な、なんか………申し訳ない気持ちと、恥ずかしい気持ちがあるな………」
「そう?俺はこのメッセージ、ずっと残しておくつもりだよ。プリントアウトしておきたいぐらい」
「それはだめだよ!」
風香は柊の言葉に反応して、拒否する。
すると、柊は微笑みながら風香の髪に触れた。
「いろいろ悩ませてしまってごめん。薬、飲んでくれてありがとう、とは言えないけど………。でも、助かった。無事に美鈴さんを逮捕出来た」
「うん…………」
「…………本当に心配したし、離れている間は寂しかったんだよ」
「私もだよ。………でも、どうして柊も記憶喪失になってたの?」
「あぁ………あれは、演技だよ」
「え………演技…………って、えぇ!?」
柊の言葉に風香は驚きの声を上げた。
そんな様子に柊はニコニコと笑っていた。「気づいていなかったなんて、俺もまだまだ舞台に上がれるかな」と微笑んでいた。そう。柊は、元々大学では演技部だった。