溺愛婚約者と秘密の約束と甘い媚薬を



 それから2か月という時間が経った。
 その間も、風香は離脱症状の頭痛に襲われる日々が続いた。けれど、柊の協力あり風香は薬に頼ることがほとんどなく、耐えて過ごすことが出来ていた。頭痛に襲われる感覚も長くなっており、医者にも驚かれるほどだった。

 この日、2人はいつものように通院すると「ほぼ完治したと言って大丈夫でしょう。また頭痛がきたら、薬を飲んで対応してください。お疲れ様でした。頑張りましたね」と、言われ禁断症状に風香が勝ったと認められたのだった。
 風香は嬉しさよりも安堵を感じ、肩を下ろすと、横で「よかった」と、自分よりも笑顔になってる柊が居た。
 風香は彼を安心させる事が出来た事が何よりも嬉しかった。



 「おめでとう、風香」
 「ありがとう………乗り越えられたのは、柊のおかげだよ。柊がいなかったら、私はまだ苦しんでいたと思うわ」
 「お役に立てて何よりだよ」


 柊は車を走らせながら、とても上機嫌でそう笑っていた。風香は、いつものお菓子の宝箱からキャンディを取り、車酔いを防ごうとした。
 その時、柊が家とは違う道へと道を変更した事に気づいた。


 「あれ………?柊?どこかに寄るの?」
 「前に、完治したら連れていきたいところなあるって言ってただろ?そこだよ」
 「あぁ。やっぱりに到着するまで内緒?」
 「もちろん」


 とても楽しそうに笑う柊に教えてと言おうと思ったが、彼は意外にも頑固なのできっと教えてくれないだろうと思い、風香は大人しく待つことにした。


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