溺愛婚約者と秘密の約束と甘い媚薬を
「それ首につけてみて」
「え………いいよ」
「いいから」
そういうと、柊は宝石を取り風香の首にかけてくれる。豪華な宝石が胸元を飾り、風香は気恥ずかしくなる。
「私にはまだこの宝石は似合わないわ」
「そんな事はないさ。結婚式にはこのネックレスを選ぼう。これに、合うドレスを早く見つけないとな」
「………柊………」
柊はそう言うと、風香を引き寄せ、ネックレスのすぐ傍の肌にキスを落とした。それだけで、体がゾワリと震えてしまう。
「結婚式は1度中止になってしまったけど……そろそろ準備をしよう。早く風香のドレス姿が見たい」
「………うん。私も早く柊のお嫁さんになりたいよ」
「じゃあ、まずは結婚指輪を探しにいこう。ガーネットがついた指輪なんてどうだ?」
「うん!それがいい!」
柊の提案に、風香は笑顔で堪える。
すると、彼は穏やかな笑みを浮かべて風香の頬に触れた。
「………二人で幸せな時間を守っていこう」
「うん」
「今度こそ薬になんて頼らない。嘘なんてつかない………必ず幸せにする」
「………ねぇ、柊。メモリーロスは危険立ったかもしれない。けど、あなたを守るためなら、きっとそれは私にとって甘い媚薬になったの」
「………風香?」
「薬を飲んだ事、後悔してないよ。柊がもっともっと好きになれたの。だから………」
「もう、媚薬なんか飲まなくても俺に夢中になって?」
柊は熱を帯びた視線を向け、ゆっくりと風香に顔を、近づけてきた。
風香が頬を染め彼の言葉と視線に釘付けになりながら小さく頷くと、柊はすぐに風香にキスをした。
出会った時から、あなたに夢中になっていたよ。そんな気持ちを込めて、風香は宝石と共に柊を強く強く抱きしめた。