溺愛婚約者と秘密の約束と甘い媚薬を



 「柊さんは、体鍛えてる感じがしますけど………お仕事の関係ですか?」
 「あぁ、俺は警察官なんです。だから、意識的に体は鍛えるようにしてるんですけど……どうしてわかったんですか?」
 「そんな風に見えたもので……警察官は大変そうですが、かっこいいですよね。事件とか追ってたりするんですか?」
 「そんなにカッコいいものじゃないですよ。意外に地味なものです。書類書きも多いし………。確かに、事件を追っているような課ではありますが、警察に興味あるんですか?」
 「あ、結構刑事もののドラマが好きなので……」


 いろいろ突っ込んで聞いてしまったので、柊は警察に興味を持ったと思ったのか、それとも怪しんだのかわからないか、最後にそう質問してきたので、慌てて誤魔化したが、上手く誤魔化せただろうかと不安になってしまう。


 「そう言えば、風香さんはおいくつですか?………って、女性に年齢は聞かない方がいいのかな………。俺は31歳だけど、年下ですよね?」
 「えぇ……28歳です」
 「そうか。俺とあまり変わらないんですね。よかった」


 彼が何故「よかった」と言ったのか。
 風香は、その理由を察知して思わず嬉しくなってしまう。
 それにまるで出会ってすぐの付き合いたての頃のように、敬語で話したり、妙にそわそわした雰囲気が懐かしくなってしまう。それが悲しくもさせてしまうのだけれど………。





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