溺愛婚約者と秘密の約束と甘い媚薬を
「その花の名前、風香さんは知ってる?」
「ううん。見た事もない花……かな。真っ白で花びらがたくさんで綺麗だね」
「うん。この花は、アスターステラホワイトっていうだって。ステラは星とか、星光って意味だから……なんか、納得だよね」
「白い星の光………素敵な名前だね。ありがとう、柊さん。大切にするね」
白い星という名前の花は、星空が見える出窓に飾ろう。風香はそう決めたのだった。
恋人になってからは、毎日のようにメッセージを交換したり電話をしたり、時間を見つけては2人で会うようにしていた。
お互いに忙しいため、1日会える日はなかなかなかったけれど、それでも風香が寂しくないようにと、柊は小まめにフォローしてくれていた。
そんな時に、和臣から連絡が入った。
柊が行方不明になっている間は、事件や事故などには全く関わった形跡はなかったそうだ。
早めの健康診断だと言って病院に行ったらしいが、特に問題もなかったらしい。
そして、薬物検査だがメモリーロスは他の大麻やシンナーなどと違って、髪や尿から薬物反応が出ないというのがやっかいだった。
脳を詳しく見ればわかるらしいが、そこまで柊が検査をしてくれるはずもなかった。
そのため、柊がメモリーロスを服用しているかいないかは、まだわからなかった。
和臣にまた「付き合うことになった」と伝えると、「すごいですね!」と驚きながらも「本気で俺が狙ってたんですけどねー」と、また言われてしまい、風香は苦笑するしかなかった。