溺愛婚約者と秘密の約束と甘い媚薬を
『え!?部屋が荒らされているって、誰かに住居侵入されたって事ですか?』
「そうみたいです。………電気を着けるのが怖くて玄関と廊下しか見えてないんですけど………ぐちゃぐちゃになってて」
『入室しないのが正解ですよ、風香さん。部屋の外で待っていてください。俺も向かいます。柊さんには連絡は?』
「したんですけど、繋がらなくて………」
『…………わかりました。俺からも連絡をとっておきますね。急いで行きます』
そう言うと、和臣は電話を切ってしまった。
電話を切った瞬間、また一人になってしまったのを実感し、強い恐怖心に襲われる。
「…………鍵をしめたはずなのに、どうして………」
風香は震える体を自分の腕で抱きしめながら、自分の部屋を見つめた。
鍵は閉めたはずだ。しっかりと覚えている。出掛ける際、待ち合わせに遅れそうで急いでいた。鍵をかけた後すぐに、鍵を落としてしまったのだ。それを鮮明に覚えているので間違えはないはずだった。
それなのに、部屋は荒らされている。
部屋は5階にあるので、窓の侵入は難しいと風香は思う。けれど、角部屋なので何かの方法で侵入は可能なのかもしれない。
けれど、何故風香の部屋に侵入者が現れたのか。それが不思議だった。そう考えた時に、風香は美鈴の話を思い出した。