溺愛婚約者と秘密の約束と甘い媚薬を
旅行会社のHPをみて悩む事、約数時間………。
「で………何やってんだろう………私」
予約を完了したホテルの詳細がかかれたものをプリントアウトした紙を見て、風香は苦笑いを浮かべてしまう。
風香が悩みに悩んで予約したのは、ここから数時間新幹線や電車に乗り、やっと到着する海沿いの小さなホテルだった。近くには雰囲気のいいレストランやケーキが美味しいと評判のカフェやスパなどもあり、海を見ながらゆっくりするのに調度いいなと思ったのだ。
何故、そこまでその場所について詳しいかというと、風香はその場所を訪れた事があったのだ。
そう、柊と初めて遠出の旅行をした思い出の場所だったのだ。
彼とは所縁のない場所に行こうと思っていたのに、何故か引き寄せられるように、そのホテルを予約していた。
初めての柊との旅行に前日はドキドキして眠れなかったり、新幹線に乗っても手を繋いで、泊まる場所やレストランの予習をしたり、夜は二人で綺麗な花びらが浮かんだお風呂に入ったり………涙が出そうになるぐらいに、幸せな時間だった。
そんな場所に行って、また切なくなるのもわかっている。今回、隣に柊はいないのだから。