溺愛婚約者と秘密の約束と甘い媚薬を



 「付き合ったばかりだし、まだ難しいかな?」
 「いえ………そんな事ないよ。ご迷惑にならないかなって」
 「それはないよ。不謹慎かもしれないけど、風香ちゃんが家に居てくれるのは嬉しいよ。だから、まずは落ち着くまでおいで」
 「じゃあ………お言葉に甘えて」
 「うん」


 風香の返事を聞いて安心した柊は、微笑んだ後にまた現場へと戻っていった。
 事情聴取をした後、風香は解放されることになった。今のところ、犯人が玄関から侵入した事ぐらいしかわかっておらず、監視カメラの確認などはまた後々行われるようだ。風香のマンションの周りを多めにパトロールしてくれるようになったので一安心ではあった。


 話を終えた後、風香はすぐに帰宅する事になった。柊は仕事をしているだろうと思ったが、風香の事を迎えに来てくれた。


 「さぁ、帰ろうか」
 「え……柊さん、お仕事は?」
 「被害者の女の子の一人で帰らせるわけにはいかないよ。俺も心配だし、上司にも怒られる」
 「ふふふ………ありがとうございます」


 先程まで震えるほど怖いことがあったのに、柊が傍に居てくれるだけで微笑む事が、できるようになったのだ。
 それも全ては彼のお陰だった。
 けれど、やはり心の奥底では、先程の鍵の事を考えてしまう。



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