溺愛婚約者と秘密の約束と甘い媚薬を
それでも、その場所に行きたいと強く思ったのには何か理由があるのだろう。
風香はそう思って、その場所に行くことに決めた。
「2泊3日だから………その分の仕事は徹夜で終わらせよう!」
風香の仕事はフリーのイラストレーター。
そのため出勤などもなく、自宅で仕事をしている。締め切り期限を守ればいいだけと思われがちだが、イメージと違うなどの理由から何度も手直しが入ったりする。そのため、風香は締め切りより、早め早めに終わらせるようにしていた。それに忙しいときに限って、大きな仕事を貰ったりするものだった。断る事も出来ないため、フリーもなかなかに忙しいのだ。
けれど、自分で決めた休息のために、溜まっていた仕事を今夜で完成させるつもりだった。最近はとてもではないが集中する事が出来なかったのだから仕方がない。
風香は、長い髪を束ねてパソコンを見つめペンタブを持った。
柊の事を忘れることなんて出来はしない。
だから、この仕事を頑張れば彼の事に集中できる。
その思いで、風香は仕事に取り組んだ。
そして、それは朝日が登り、昼前になるまで続いたのだった。