溺愛婚約者と秘密の約束と甘い媚薬を
★★★
柊がシャワーから上がるりスマホをチェックすると、部下の和臣から電話がかかってきていた。柊は頭にタオルを乗せて、電話をかけ直しながら冷蔵庫から水を取り出して、ごくごくッと喉を鳴らしながら飲んだ。
『お疲れ様です、青海さん』
「あぁ………何かわかったか」
『はい。やはり侵入した犯人は鍵を使ったようです。鍵穴にも無理矢理開けたような後はなかったようです。もちろん、窓にも指紋などは一切ありませんでした』
「で、犯人は…………?」
『特定は出来ていませんが、部屋にあった靴の跡からは男性だと思われます』
「わかった。明日、また詳しく教えてくれ」
柊はあまり進展のない結果に、頭を悩ませながら通話を切ろうとした。すると、また和臣の声が聞こえてきた。
『………大丈夫でしたか?』
「あぁ。俺がそんなミスすると思うか?」
『そうですよね。最後まで上手くいきますよね』
「………さっさと終わらせる」
『はい』
柊の真剣な声を聞き、和臣は強く返事をした。
通話ボタンを押し、電話を切る。
その後、一気に水を飲み干す。
ハーッと溜め息混じりの息を吐き出す。
「さて………、次はどう動くか……」
笑みを含んだ声に聞こえたが、柊の表情には一切の明るさはなく、まっすぐと寝室の方を見つめながら呟いたのだった。