溺愛婚約者と秘密の約束と甘い媚薬を



 「柊さんが気にする事じゃないのに………それに、私はこうやって柊さんに助けて貰えてるから笑っていられるんだよ。もし一人だったら、あの部屋で震えて少していたかもしれない。感謝しかないよ」
 「………君を一人になんてさせるはずないだろう。当たり前だよ」
 「それが嬉しいの」


 風香はフフフッと笑って彼の髪をそっと撫でた。艶のある彼の綺麗な銀色にも似た髪。風香は大好きでよく彼の髪に触れていたなと思い出す。それを「何か、子ども扱いされてるみたいだな」と、苦笑しながらも拒絶しない柊。今もそうだ。嫌がる事もなんてない。


 「………ごめんね。風香ちゃん」
 「柊さんが謝る事なんてないよ」
 「君も安心させるように、俺も頑張るよ」


 そう言って柊は先程よりも強く強く風香を抱きしめたのだった。
 風香は彼の「ごめんね」の意味が、その時はよくわからなかった。







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