もう一度だけ、キミに逢いたい。
プロローグ
小さい頃のわたしは、“幸せ”は、誰もが当たり前のように手に入れられるものだと信じきっていた。
大好きなパパとママとお兄ちゃんとお姉ちゃんと妹たちがいて。
小学校の友達といっぱい遊んで。
将来は世界で一番大好きな人と結婚する。
これらの普通の“幸せ”が叶わないなんて、思いもしなかったんだ。
でも、今考えてみれば、わたしってなんて無邪気なんだろうと思う。
誰もがみんな“幸せ”になんて、なれるはずがなかったんだ。
わたしはたったの9歳にして、絶望にも等しい現実を突きつけられることになる……───
そう、例えば今のような……───
< 1 / 471 >