もう一度だけ、キミに逢いたい。
……えっ?
こ、これって……
“ごめん。しばらく家の用事があって放課後会えない”
何度も見返したけど、紙には間違いなく伊織くんの字でそう書いてあった。
名前は書いていないけど、わたしには分かる。
伊織くんの字ってちょっと特徴的だから。
それに、書いてある内容からしても、伊織くんしかいないのは明白な事実。
わたしは頭がフリーズしてしまい、しばらく動けなかった。
…っは、まずいまずい。
この紙の内容を誰かに見られるわけにはいかない。
もし見られても、伊織くんだとバレる可能性はかなり低いけど、用心するに越したことはなから。
上履きに履き替えて教室に向かいながらも、わたしの頭は伊織くんのことでいっぱいだった。
……なんで?
わたし、伊織くんに何かした……?