もう一度だけ、キミに逢いたい。
考えてみるけど、何も心当たりはない。
気になることはあるにはある……けど、でも理由なんて分からない。
この前、伊織くんが何故かわたしに謝って来た時。
あの苦しそうな表情が頭から離れない。
今まで彼は、何度か悲しそうな顔を見せたことはあったけど、あの時の彼の表情だけは、頭に焼きついて離れなかった。
「おはよー!今日もテスト返ってくるよね?」
「うん、返ってくるんじゃない?」
「あ〜あ、返ってこなくていいのに〜…」
教室に入ると、今日もまたテストという単語が飛び交っている。
……あれ、わたしの席に誰か座ってるんだけど…
確か……笹原さんだったっけ?
う〜ん…正直クラスメイトの名前と顔をあんまりちゃんと覚えていない。
すると、わたしが何か言うより前に、相手が先に気づいた。