もう一度だけ、キミに逢いたい。
【08.】繰り返し見る夢
『ねえ、知ってる?
ないものを数えるより、
あるものを数えた方が
幸せになれるんだよ……───』
少年の言葉に、少年と同じくらいの年頃の美しい少女は、涙で濡れた目を大きく見開く。
少女は容姿こそ美しいものの、その目は真っ黒く、まるで闇に埋れているかのように光を写していなかった。
少年も、幼いながらにそれをなんとなく感じ取ったのだろう。
自分がいつも母親から言われていたのと同じ言葉を少女にかける。
…しかし、それは逆効果だったようだ。
『わたしのことを何も知らないあなたに……っ、あなたに何が分かるって言うのっ…!!幸せってなに……?わたしに残ったものってなに……?わたしにはっ……わたしにはっ……』