もう一度だけ、キミに逢いたい。
【10.】夢の中のキミと伊織くん
また“あの日”の夢を見ていた…
そう、“キミ”と出逢った日の夢を…
(あ、“わたし”と“キミ”がいるのが見える…。ってことは今日は外野か…)
わたしは二人がいる公園の方へ近づいて行く。
『ねえ、知ってる?
ないものを数えるより、
あるものを数えた方が
幸せになれるんだよ……───』
“キミ”の言葉に、“わたし”は、涙で濡れた目を大きく見開いている。
しかし、それも束の間、“わたし”の顔は一瞬でぐちゃぐちゃに歪む。
『わたしのことを何も知らないあなたに……っ、あなたに何が分かるって言うのっ…!!幸せってなに……?わたしに残ったものってなに……?わたしにはっ……わたしにはっ……』
“わたし”は発作を起こしたように再び泣き出し、暴れ出す。