もう一度だけ、キミに逢いたい。

……誰に何を言われても好き、と告白されても全く心に響かないのに。




そして、それと同じように、伊織くんの言葉にはいつも心を揺さぶられていた。


…多分、初めて好き、と言われたあの時から。




『………俺、友梨乃のことが好きだ』


『…俺には、あの日からキミしか映らない』




言葉だけじゃない。


キミの表情に、キミの温もりに、キミの全てに。




……伊織くんに出逢えたことって奇跡?


それとも運命?


分からないけれど、思わずそんな言葉を当てはめてしまいたくなる。


“幸せ”と同じくらい大嫌いだった言葉を。




だって、起こってしまった出来事はどう足掻いても元には戻せないけど、それでもあんな残酷出来事を“そういう運命”だったなんて言葉で片付けるなんて、あの時のわたしには無理だったし、今でも無理だ。


< 168 / 471 >

この作品をシェア

pagetop