もう一度だけ、キミに逢いたい。

顔は見えないけれど、わたしが伊織くんと他の人を見間違うはずがない。




『…!伊織くん……!!』


残っている力を振り絞って彼の名前を精一杯叫ぶ。


『伊織くん、伊織くん、伊織くん…!!』




お願い、こっちを向いてっ……


どうか、わたしを置いて行かないで……っ。




………。


だけど、わたしのそんな願いも虚しく、伊織くんは一度もわたしの方を振り返らずに、その背中だけがどんどん遠ざかっていく。




なんでっ…なんでなんで……


わたしはそのまま膝から崩れ落ちた……




『うわぁぁぁぁぁぁ……!!』




…………………………




「…ん……き…ん…鈴木さん!!」


「…んっ…んぅ……だ、れ……?」

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