もう一度だけ、キミに逢いたい。

「……泣いて、いいんだよ」


「え?」




「ゆりちゃん、泣きたいの我慢してるでしょ…?私の前なんだから、我慢することないよ。それに、一番苦しいのはわたしじゃない、ゆりちゃんなんだから…」




…っ……


わたしは、光ちゃんの少し悲しげなそれでいて優しい声と表情に、一気にブワッと涙が溢れ出す。




「うええぇぇぇぇんん……ヒック…ヒッ……ごめん、ね……ひかるちゃんっ……ひかるちゃぁぁぁぁん……」




……さっきまでとは反対に。


今度はわたしが光ちゃんの胸に顔を埋めて、涙が枯れるまでひたすら泣き続けた。


もう何がなんだか分からなくて……


でも……悲しくて悔しくて。


どうすれば思い出せるんだろう……手がかりも何もないに等しいこの状況で。




……………………。


< 216 / 471 >

この作品をシェア

pagetop