もう一度だけ、キミに逢いたい。
彼はゆっくりとこちらを振り返って、フッと微笑んだ。
また……笑った。
これで彼の笑顔を見たのは2回目。
普段はあまり笑わないと言われている彼。
実際、わたしも笑った顔を見たことがなかった。
……昨日までは。
でも、今日の昼休みも今も、彼はわたしに向かって微笑みかけてくれた。
にっこり、という感じではないのに、彼の笑顔はすごく眩しい。
……やっぱり、わたしとは正反対だな。
「……あの、お話というのはなんでしょう?」
大多数の女子なら、彼と二人きりというこの状況をもっと喜ぶんだろうけど、わたしはあいにく、その大多数には入っていない。
じっと彼の顔を見つめる。
「………俺、友梨乃のことが好きだ」
………えっ?
暖かい風がサアッとわたし達の間を駆け抜けていく。