もう一度だけ、キミに逢いたい。
道ゆく人にはギョッとしたような目で見られていたらしいけれど、そんなことは関係なかった。
今のわたしは伊織くんと光ちゃんを見つけることしか頭にない。
……だからだろう、今自分がどこにいるのか、そして、すぐ横から近づいてきているものに気づけなかったのは。
最初は何が起こったのか分からなかった。
何人もの「危ない!!」と叫ぶ声を微かに聞き取れた直後、ドンッ!!と強い衝撃を体に感じると共に、一瞬遅れて言葉では言い表せないくらいの激痛が走った。
…ッ……!!!!
体を動かそうにも痛すぎて動かすことができない。
ただわたしの体から血がドクドクと流れているのは分かった。
…ッ……い…、痛いッ……。
だけれど、暴走していたわたしは、少しだけだが正気を取り戻したらしかった。
「誰か救急車を!!早く!!!」
「今呼びました!!」
意識が飛びそうになりながらも、そんな会話をはっきりと聞き取ることができた。