もう一度だけ、キミに逢いたい。

あれから事実としては一カ月経っているわけだけど、母さんが死んでしまったあの日のことは、今でも昨日のことのように鮮明に頭に焼き付いている。


多分俺の心の時計は側から見ると進んでいるように見えるが、実際は止まったままなのだろう。


俺はセミの鳴く声を聞きながらぼんやりとそんなことを考える。




……にしても、めちゃくちゃ暑い。


これなら冷房のある家にいた方がよかったかと思いながらも、家に帰ることはせずになるべく日陰を選んで歩く。


まだ午前だからか、道を歩く人はほとんどいない。


この辺は住宅街で車もあまり通らないからすごく静かだ。




家から歩いて五分。


あ、ここ……


小2くらいまで夏樹と母さんとよくきてた公園。


学校終わってから放課後に友達とも遊んだことがある。

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