もう一度だけ、キミに逢いたい。
「…ぅっ…ぅぅ……グスッ……」
……誰だ?
辺りを見渡しても俺以外誰もいない。
もちろん、公園の中にも。
気のせいか……?
そう思ったけど、俺は耳がいい方だ。
確かに聞こえたんだけどな…
……あ。
もしかしてと思い、今立っている位置から少し移動してみた。
すると……ほら、やっぱりいた。
先程の位置からは死角になる位置にあったベンチに、俺と同い年ぐらいだろう少女が座っていて、膝に顔を埋めながら泣いていた。
いつもの俺なら素通りするところなのに、俺の数少ない思い出の場所である懐かしいこの公園で一人泣く少女に何故か妙に惹かれた。
一歩ずつ一歩ずつゆっくりと少女に近づいてゆく。