もう一度だけ、キミに逢いたい。
すると、少女の体がピクリと震えて膝にうめていた顔があらわになる。
「…だ、れ……?」
……っ!
俺はびっくりして思わず息を呑んだ。
理由は二つ。
一つは、目の前の少女の顔があまりにも整っていたから。
俺の同級生にもほぼ全員の男子から可愛いと言われている女子がいるけど、この子はそれ以上だと思う。
そして二つ目。
それは……
少女の黒い瞳が、色以上に真っ黒く、まるで闇に埋れているかのように全く光を写していなかったから……
11歳の俺でも分かる…
この子は何かとてつもなく重いものを抱えているんじゃないか、と……
それなのに、俺は何故だかこの少女から目を離すことができなかった。
「だ、れ……?」
もう一度少女が聞いてくる。
どうやら知らない俺を警戒しているようだ。