もう一度だけ、キミに逢いたい。
俺のその言葉に、少女は、涙で濡れた目を大きく見開く。
なんとかして目の前の少女を慰められないか。
俺としてはその一心だったが、それはどうやら逆効果だったようだ。
……ヤバイ。
そう思った時にはもう遅かった。
「わたしのことを何も知らないあなたに……っ、あなたに何が分かるって言うのっ…!!幸せってなに……?わたしに残ったものってなに……?わたしにはっ……わたしにはっ……」
少女は発作を起こしたように再び泣き出し、暴れ出す。
“幸せ”という言葉は彼女にとって禁句だったのだろうか。
俺は冷静に分析する一方で、内心は先程よりもずっと焦っていた。
や、ややや…やべっ……。
これは……ど、どうすればいいんだっ……?
少女を慰めるつもりだったのに、逆に少女が泣き出してしまったからだ。