もう一度だけ、キミに逢いたい。
少なくとも、家族全員での思い出がなくて気にしていたり、母親が死んでそれを引きずっているだけの俺よりも、断然苦しい想いをしているのは確かだ。
「…きみが、どんなものを見ながらどんな風に生きてきたのかは私には分からない。ただね、似ているの…。どこか、何かを諦めたようなその瞳が……」
彼女の口から穏やかに告げられるその言葉。
……しかし、俺はその言葉に驚き、そして言葉を失った。
俺が……何かを……諦めているような瞳をしている………?
正直、そんなこと考えたこともなかった。
でも、言われてみれば……
そうか、俺は心のどこかでそんな風に想っていたんだ………───
そう思った時、妙に心の中にストンと落ちた。